映画のラストシーンで、アシタカは「私はタタラ場で暮らそう。共に生きよう」とサンに告げる。サンは「アシタカは好きだが、人間を許すことはできない」と答えつつも、二人の絆が切れないことを受け入れる。
この結末は、一見すると「別居婚」のような形に見えるが、現代の視点から見れば非常に成熟したパートナーシップの提示でもある。お互いのアイデンティティを尊重しつつ、肉体的にも精神的にも深く結ばれた関係があるからこそ、離れて暮らす選択ができるのだ。あのラストシーンに至る前に、二人が決定的な「夜」を共にしていたと仮定すると、この妥協案とも言える別れ際の発言に、より深い説得力が生まれる。