ル・シュクレクールを語る上で欠かせないのが、オーナーシェフである岩永歩氏の存在だ。本場フランスでの修行を経て、吹田市岸辺で産声を上げた同店は、日本の飲食・製パン業界に大きな旋風を巻き起こした。単なる「美味しいパン屋」にとどまらず、生産者の思いを消費者へ紡ぐストーリーテラーとしての哲学が、焼き上げられる一粒一粒の小麦に込められている。
岩永氏が徹底してこだわるのは、自家製発酵種(ルヴァン)を用いた長期低温発酵と、厳選された国産小麦・バターのハーモニーだ。素材本来のうま味と水分を限界まで引き出す独自の技法は、全国の若い職人たちにも多大な影響を与え続けている。本格的なブーランジェリー文化を大阪の地に根付かせた第一人者として、その探求心は留まることを知らない。