マシュー南(Matthew Minami、本名:マシュー弦也南)の公式プロフィールは、徹底したディテールで構築されていました。イギリス・ロンドン出身のハーフで、生年月日は2001年時点で10代後半〜20歳前後という設定。流暢な(しかし独特の訛りを持つ)日本語とポップな英語を織り交ぜ、「あら、いやだ!」「ナイスですね〜!」といったキャッチーなフレーズを連発する姿がトレードマークです。
最大の特徴は、藤井隆とマシュー南は「あくまで別人であり大親友」というスタンスを徹底的に崩さなかった点にあります。テレビ画面に藤井隆本人がゲストとして登場し、合成技術を駆使してマシュー南と藤井隆が横並びでトークを繰り広げる演出も行われました。視聴者全員が「正体は藤井隆」と知りながらも、その完璧な世界観と憑依型の演技力に魅了され、共犯関係となって楽しむ新しいテレビ的リアリズムがここに確立されたのです。
この緻密なキャラクターメイキングには、藤井隆自身が持つ卓越した観察眼と、80〜90年代の海外ポップカルチャーへの深いリスペクトが色濃く反映されています。単なる物真似やパロディにとどまらず、一つの自立したポップスター像をゼロから作り上げた点に、表現者としての底知れない才能が如実に表れていました。