モヘンジョダロやハラッパーといった高度な都市計画で知られるインダス文明。その遺跡からは、一角獣(ユニコーン)やコブ牛、ゾウなどの精緻なレリーフとともに刻まれたインダス文字が多数出土しています。
しかし、四大文明の文字の中で唯一、インダス文字は現代に至るまで正確な解読が成し遂げられていません。未解読のまま立ち往生している理由は、主に以下の3点に集約されます。
第一に、ロゼッタストーンのような「既知の言語との二言語併記(バイリンガル史料)」が一切見つかっていない点です。第二に、出土した文字資料のほとんどが印章(スタンプ)や小さな陶片であり、1つの史料に含まれる文字数が平均4〜5文字程度と極めて短い点。長文のテキストが存在しないため、文法構造の特定が困難を極めます。そして第三に、インダス文明の担い手が話していた基礎言語(ドラヴィダ語族系かインド・ヨーロッパ語族系か)についての学会内の合意が形成されていない点です。
2026年代以降はAIを用いた統計的パターン解析や言語学的アプローチが精力的に試みられていますが、決定的な長文史料の発掘がない限り、その真意の完全な解明にはまだ時間を要します。