月と地球の関係において最も驚くべき事実は、両者の距離が固定されていないどころか、月が毎年約3.8cmずつ地球から遠ざかっているという点だ。このミリ単位の精密な測定を可能にしたのは、アポロ11号をはじめとするミッションで月面に設置された「コーナーキューブ反射鏡」である。地球からレーザー光線を照射し、戻ってくる時間を計測することで距離の変化が判明した。
なぜ月は離れていくのか。その答えは、地球の海洋が引き起こす「潮汐摩擦」にある。月の引力によって地球の海水が引っ張られ、自転に伴って生じる摩擦が地球の自転エネルギーを奪う。その結果、地球の自転速度は徐々に遅くなり、失われた角運動量が月の軌道エネルギーへと移動することで、月が外側へと押し出されているのだ。数億年後には、地球から皆既日食が見られなくなる未来が訪れると予測されている。