「何かを得るためではなく、余計なものを削ぎ落とすために来る」。週末に東京から訪れた30代のIT事業者はそう語る。かつての観光は、名所を巡り、写真を撮り、名物を味わう「足し算の旅」が主流だった。しかし今、人々の意識は大きくシフトしている。
境内のベンチで小一時間ほど佇み、ただ木漏れ日を眺める。スマートフォンの電源を切り、通知の来ない時間を過ごす。このような「引き算の観光」を受け止める懐の深さが、この場所にはある。地域の小さな宿やカフェもまた、過度な商業化を避け、静かな時間を尊重する接客を心がけているという。