2012年のAKB48卒業劇は、日本のエンタメ史に残る一大イベントだった。しかし、本当の戦いは「絶対的エース」の肩書を捨て去った直後から始まっていた。周囲が求める可愛らしいアイドルの残像を背負い続ける選択肢もあったはずだ。だが、彼女が選んだのは、泥臭く人間模様の渦に身を投じる茨の道だった。
舞台や単館系映画の現場で汗を流し、台本と愚直に向き合う日々。観客の固定観念を心地よく裏切るように、彼女は自らの身体と言葉を極限まで絞り出していった。その覚悟こそが、ただのタレントから邦画の世界で唯一無二の存在感を放つ実力派へと押し上げる大きな推進力となったのだ。