法的な取り締まりが難しいなかで、矢面に立たされてきたのが最前線の小売現場だ。都内の大手家電量販店でホビー担当主任を務める男性は、2026年から2026年にかけての売り場の変貌について次のように苦しい胸の内を明かした。「かつては毎週末のように開店前から殺気立った集団が押し寄せ、一般のお客様が巻き込まれるトラブルが絶えませんでした。雇われた購入代行グループと見られる人物たちが、指示役のスマートフォン画面を見せながら商品を指差す異様な光景が日常茶飯事だったのです」。
こうした現場の荒廃を食い止めるため、玩具・模型業界では泥臭くも実効性の高い独自の撃退作戦が編み出されていった。特にガンプラの販売現場で広まった通称「ランナー回収」や「内袋カット」は、未開封のコレクション価値を最優先する転売市場の性質を逆手に取った画期的な対抗策として知られる。購入時に目の前で外箱のセロテープを剥がし、パーツの袋を開封させる、あるいは箱の特定部分に店名スタンプを押印することで、二次流通市場での転売相場を瞬時に急落させる措置だ。
一方、社会現象化したポケモンカードの転売現場でも、徹底した販売レギュレーションの構築が進められた。レジ前でパックの包装(シュリンク)をその場で剥がして販売するオペレーションの標準化に加え、一部の専門店では「最新弾の拡張パックに登場するポケモンの名前を答えてもらう」というクイズ形式の購入条件を課す試みまで行われた。熱心なファンであれば難なく答えられる問いであっても、指示書だけを頼りに買いに来た代行者には答えられない。現場の知恵によって、単なる転売目的の買い占めを水際で弾く防衛網が全国に張り巡らされている。