経済ニュースを見る際、最も多くの人が陥る罠が「県内総生産(GDP)が大きい県=住民が豊かな県」という思い込みです。ここには、都道府県 1人あたりGDPと都道府県別 一人当たり県民所得という2つの指標の決定的な違いが隠されています。
県内総生産(GDP)は「その地域の中で生み出された付加価値の合計」を指します。一方、県民所得は「県民や県内企業が実際に受け取った分配(雇用者報酬+企業所得+財産所得)」を示します。この2つを比較すると、意外な順位の逆転現象が起こります。
例えば、東京都は昼間人口(神奈川・埼玉・千葉などからの通勤者)が膨大であるため、昼間に都内で生産された付加価値が夜間に近隣県へ持ち帰られます。そのため、都民1人あたりの所得水準は依然トップクラスであるものの、通勤者によって生み出されたGDP総額の過大評価分を割り引いて見る必要があります。
対照的に、愛知県、福井県、富山県、栃木県などの製造業集積県では、堅実な地場企業が多く、世帯の共働き率や正規雇用比率が高いため、「1人あたり県民所得」のランキングで東京都に次ぐ上位グループに食い込みます。特に北陸エリアは持ち家比率が高く住居費負担が軽いため、可処分所得や生活のゆとりという「実質的な豊かさ」の観点では、大都市圏を大きく凌駕しているという調査データも少なくありません。