スポーツ漫画といえば、どん底からの劇的な逆転勝利や、土壇場での奇跡的な覚醒が定番のフォーマットだった。しかし、本作はそのお約束を容赦なく打ち砕く。149cmの低身長という決定的なハンデを背負った車谷空は、どれほど血の滲むような練習を重ねても、圧倒的な体格差や強豪校の壁に阻まれ続けた。
「努力は必ず報われるわけではない」。作品全体に漂うこの冷徹な視点こそが、実は最大の救いとして読者に届いている。負けたあと、どう生きていくのか。悔しさに涙を流した翌日に、どうやって再びバッシュの紐を結ぶのか。結果よりもプロセスにおいて人間性が試される瞬間を、作者はカメラのレンズのように客観的かつ情熱的に捉え続けた。