なぜシャアは、士官学校時代からの無二の親友と目されていたガルマを死へと追いやったのか。その動機は、ジオン公国の創始者ジオン・ズム・ダイクンの遺児であるキャスバル・レム・ダイクン(シャアの本名)とザビ家の確執にあります。
キャスバルの父ジオン・ダイクンは、宇宙世紀0068年に急逝しました。表向きは病死と発表されたものの、実質的にはデギン・ソド・ザビ率いるザビ家一派による暗殺であったと目されています。幼少期のキャスバルと妹のアルテイシア(セイラ・マス)は、ザビ家の刺客から逃れるため地球へ亡命し、名前を変えながら流亡の生活を余儀なくされました。
素性を隠してジオン軍士官学校へ入学したシャアにとって、ザビ家の末弟であるガルマに近づいたことは周到な復讐計画の第一歩でした。第10話のラスト、炎に包まれるガウ攻撃空母の中で真実を悟ったガルマに対し、シャアは通信越しに冷酷な言葉を告げます。
「ガルマ、私の手向けだ。姉のキシリアによろしくな」
「フフフ……君はいい友人であったが、君の父上がいけないのだよ」
親友としての信頼を完全に逆手に取り、死の瞬間まで欺き続けたこの謀殺劇は、シャアの復讐者としての冷徹さと執念を決定づけるエピソードとなりました。