列車の窓から広がるダイナミックな景観は、鉄道旅ならではの醍醐味だ。東京を出発して西へと向かう列車では、A席側からは駿河湾や三河湾などの穏やかな海沿いの景色、そして伊豆半島の山並みが優雅に流れていく。流動する日本の風景を眺めながら過ごす時間は、単なる移動手段を超えた贅沢な時間へと変化する。
ここで留意したいのが富士山の見える位置だ。東海道新幹線において、名峰富士が優美な姿を見せるのは進行方向右側の「E席(2人掛け窓側)」である。そのため、A席から富士山を直接拝むことは難しいが、その代わりにA席側は太平洋の豊かな水平線や、夕刻に染まる南側の柔らかい光を堪能できる魅力がある。目的が山影の鑑賞か、あるいは落ち着いた光の中での読書かによって、選択肢を使い分ける知識が旅の質を高めてくれる。