シネフィルたちの間で早くも噂されているのが、クラシック映画の巨匠ロベール・ブレッソンの名作『スリ』に対するオマージュだ。無駄なセリフを極限まで削ぎ落とし、指先の動きや視線の交差だけで感情を表現する映像美学は、今回の映画『スリ師』にも脈々と受け継がれている。
撮影秘話として特筆すべきは、特注の超小型カメラを使用したクローズアップ撮影だ。監督はCGや特撮に頼らず、あくまで実演による手元の映像にこだわった。俳優陣は指先の摩擦音や衣服の擦れる音まで再現するため、毎日数時間のトレーニングを重ねたという。このストイックなまでのクラフトマンシップが、劇中に圧倒的な真実味を与えている。