文学や俳句の世界だけでなく、実際の生産現場である酒類醸造業の動向にも目を向けてみよう。近年、素材本来の香りと味わいを極めた本格焼酎は、国内にとどまらず海外のスピリッツ市場でも高い評価を獲得している。
業界団体である日本酒造組合中央会をはじめ、全国の蔵元は、夏限定のすっきりとした口当たりの焼酎や炭酸割り専用銘柄の提案など、現代的な「夏の涼」を演出する試みを精力的に展開している。これは、江戸時代に行われていた暑気払いの文化が、現代の洗練された飲料カルチャーへと進化を遂げた形と言えるだろう。伝統的な季語としての歴史的価値と、現代の職人技が生み出す商品展開が見事に共鳴し合っている。