2026年11月、長年親しまれた土俵に別れを告げ、現役を引退した琴奨菊。日本相撲協会に留まり「秀ノ山」を襲名した彼は、次世代の若手を育成するという新たな道へと舵を切った。しかし、親方としての第一歩は、同時に妻・祐未さんにとっても「部屋の女将(おかみ)さん」という新たな重責を担うことを意味していた。
独立して新たな相撲部屋である「秀ノ山部屋」を興すまでの道のりは、決して平坦ではなかった。物件の選定から稽古場の整備、部屋の運営資金の管理、さらには全国から集まる若い弟子たちの生活環境の構築まで、課題は山積みだった。それでも祐未さんは、伝統的な女将像に縛られることなく、現代的で風通しの良い部屋作りに尽力。弟子一人ひとりに母親のような温かい目配りを怠らず、夫の指導方針を全面的にバックアップしていった。