彼女のメソッドの真骨頂は、数字の絶対性に誇りを持つ点にある。例えば、人間が直感的に「美味しい」と感じる塩分濃度は、体液の塩分濃度に近い0.8%から0.9%付近とされる。前田のレシピでは、食材と水分の総重量に対してこの割合を正確に割り出す。
感覚的なひと振りではない。電卓を叩き、正確な重量を計測する。たったこれだけのステップで、塩辛すぎたり味がぼやけたりする失敗は激減する。さらに、肉を柔らかく仕上げる低温調理の加熱時間や、野菜のシャキシャキ感を残す加熱プロセスの解明など、一歩足を踏み入れれば誰でも「料理の失敗」から卒業できる仕組みが完成している。