手首式血圧計の購入をためらう最大の要因は「測定値の正確性」に対する不信感です。結論から言えば、現在国内で医療機器認証を受けて流通している手首式血圧計は、国際的な臨床精度試験(AAMIやESH基準など)をクリアしており、機器自体の測定精度に根本的な欠陥があるわけではありません。
ではなぜ、上腕式との手首式血圧計の精度比較において「数値が違う」と感じる事態が起きるのでしょうか。その大きな要因は、測定対象となる血管の太さと位置にあります。上腕式が心臓に近い太い「上腕動脈」を測定するのに対し、手首式は末梢に近い「橈骨(とうこつ)動脈」を測定します。末梢血管は外気温や緊張、自律神経の働きによって収縮しやすく、血管抵抗の変化を受けやすい特徴を持っています。
さらに、家庭用血圧計の手首測定と病院との数値の差に悩むケースも頻発します。病院での測定時は緊張から一時的に血圧が跳ね上がる「白衣高血圧」が起きやすい一方、自宅の手首式ではリラックス状態や室温の影響が色濃く反映されます。測定部位の解剖学的な差異と環境要因が重なることで、上腕式や医療機関の数値と5〜10mmHg前後の差が生じることは医学的にも珍しくありません。