日本の野外フェスの原点を語る上で、1975年8月2日から3日にかけて静岡県掛川市で開催された「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート イン つま恋」を避けて通ることはできない。真夏の湿気と熱気の中、全国から集結した若者は7万5000人。交通網は麻痺し、会場周辺のインフラは完全にキャパシティを超えていた。
ステージの上で拓郎がシャウトし、オーディエンスが地鳴りのような歓声で応える。メインアクトとして夜を徹して歌い続け、白み始めた朝の光の中で『人間なんて』を何十分も絶叫し続けた光景は、単なる音楽イベントの枠を超え、一つの世代が集団で成し遂げた通過儀礼だった。
スタジアムや野外で大規模な観客を動員し、夜明けまで歌声を共有する。いまや当たり前となった巨大フェスの原型は、間違いなくこのつま恋コンサートの夜に刻み込まれたのだ。