細木数子氏の原点は、第二次世界大戦前後の東京・渋谷にあります。1938年(昭和13年)、政治活動家であり仕手筋としても知られた父・細木之保氏と、母・よし氏の間に生まれました。しかし、父には正妻がおり、幼少期から複雑な家庭環境と貧困のなかで育つことになります。
戦後の混乱期、彼女は生き抜くために10代半ばから商売の世界へ身を投じました。16歳で渋谷に喫茶店「ブーケ」を開店させたのを皮切りに、類まれな商才と度胸を発揮。やがて舞台を夜の銀座へと移し、クラブ「姫」や「ナイト&デイ」などの経営に携わっていきます。
当時の銀座は、政財界の重鎮や大企業のトップ、さらにはアンダーグラウンドの有力者が集う権力の縮図でした。細木氏はその類まれな人心掌握術と勝負勘で、名うてのVIPたちを手玉に取り、夜の社交界で確固たる地位を築いていきました。後年の手記でも「銀座の夜で学んだ人間の欲と弱さこそが、私のすべての基礎になった」と振り返っている通り、このクラブママ時代の経験が、のちの鑑定における鋭い人間観察眼を形成したことは間違いありません。