牛すじ肉が固い最大の原因は、肉の繊維を束ねている強固な結合組織「コラーゲン」にあります。一般的な鍋でコラーゲンをプルプルのゼラチンに変えるには3時間以上の弱火加熱が必要ですが、高温・高圧環境を作り出す圧力鍋なら、わずか20分〜25分の加圧で分子構造を素早くほぐすことが可能です。
ここで多くの人が陥りがちな失敗が「圧力鍋で煮たのに牛すじが柔らかくならない」という現象です。この原因は主に2つあります。1つ目は、最初から味噌や醤油、砂糖などの調味料を入れて加圧してしまうことです。塩分や糖分濃度が高い煮汁の中では、肉の筋繊維が引き締まり、コラーゲンの軟化が著しく妨げられてしまいます。
2つ目は「急激な減圧」です。圧力がかかり終わった直後に急冷してフタを開けると、肉の内部から水分が一気に抜け出てパサつきの原因になります。ピンが自然に下がるまで放置する「自然放置」を行うことで、蒸気圧が緩やかに下がり、溶け出しかけた旨味と水分がしっかりと肉の繊維内に留まります。