Lは状況に応じて複数の偽名を使い分けました。日本捜査本部に合流した際には「竜崎」を名乗り、東応大学の入学式で夜神月の前に姿を現した際には「流河早人(りゅうが ひでき)」という偽名を用いています。これらは単なる思いつきではなく、極めて計算されたプロットと防衛策に基づいていました。
まず「流河早人」という偽名について、同名の超人気アイドルが実在していました。もし夜神月がこの場でLを始末しようと「流河早人」とノートに書き込めば、著名なアイドルの方が心臓麻痺で死亡し、Lが生存することで即座に月がキラである動かぬ証拠となります。入学式という公衆の面前で隣に座り、自ら「私がLです」と告げる狂気的な接触の裏には、ノートの特性を完全に封殺する二重三重の罠が仕掛けられていました。
また、捜査本部内で使われた「竜崎」というコードネームは、公式スピンオフ小説『ロサンゼルスBB連続殺人事件』(西尾維新 著)で描かれた通り、かつてLが解決した事件に関わる探偵名義の流用など、複数の裏設定が絡み合っています。偽名を盾にしながら、相手の出方を観察し精神的プレッシャーを与え続ける手法こそ、Lという探偵の真骨頂でした。