『海猿』の成功を語る上で欠かせないのが、フジテレビジョンを中心としたメガヒットメディアミックス展開だ。ドラマから映画へと続く大ブームは日本中を巻き込み、一大コンテンツへと成長した。しかしその裏側では、原作者である佐藤秀峰とテレビ局・出版社との間で、巨大な軋轢が生じていた。
後に佐藤自身が自著やネット上で明かした実写化の裏側は、世間に強い衝撃を与えた。映画化に関する二次利用契約が不透明なまま進められていたことや、原作者に対する著作権使用料の極端な低さ、さらにはアポなし取材や関連書籍の無断出版など、クリエイターの権利が軽視されていた実態が次々と暴露されたのである。
この告発は、単なる一作家の愚痴にとどまらず、日本の漫画業界全体における二次利用契約や著作権管理の在り方に一石を投じる結果となった。巨大資本を背景にした映像制作側と、個人の表現者である漫画家。そのパワーバランスの不均衡が浮き彫りとなり、後のクリエイター支援の動きや権利主張の輪を大きく広げるきっかけとなった。