きらびやかな系譜の裏には、一筋縄ではいかない家族の葛藤があった。里見弴は私生活において非常に奔放な人物であり、佐藤愛子自身も複雑な家庭環境の中で育っている。彼女には多くの異母兄弟がおり、その人間関係は決して平坦なものではなかった。
しかし、この「一見すると混沌とした家庭環境」こそが、後に彼女が執筆する数々のエッセイや小説の肥やしとなったことは間違いない。綺麗事だけでは済まない人間の業や弱さを、彼女は幼少期から間近で見つめてきた。あの冷徹でありながらも温かい、独特の「佐藤節」は、この複雑な血縁関係のなかで磨かれたのだ。