インコの羽には、実は緑色の物理的な単一色素が存在しているわけではない。鳥類学の視点から見ると、彼らの羽毛の美しさは光の反射と物理的構造による「構造色」と、体内で作られる色素の複雑な組み合わせによって生み出されている。具体的には、羽の内部にあるメラニン色素が光を吸収し、その上の特殊な細胞層が青い光だけを散乱させる。そこに黄色いカロテノイド色素が重なることで、人間の目には鮮やかな緑色として認識されるのだ。
こうした羽色の決定プロセスは、遺伝的に極めて緻密に制御されている。山階鳥類研究所や日本鳥学会の集積してきた研究データによれば、野生型の遺伝子を受け継ぐ個体ほど、この黄色と青色の発色バランスが完璧に保たれるという。遺伝子の変異によって黄色が抜け落ちると青色の体色になり、メラニン色素が欠如すると黄色に変色する。自然界の遺伝的メカニズムが生み出した化学と物理の芸術といえるだろう。