親の光芒から脱し、神田沙也加が自身の才能を完全に開花させた瞬間がある。それがミュージカル『レ・ミゼラブル』でのコゼット役への抜擢であった。オーディションを自らの力で勝ち抜き、厳しい演出家の指導に耐え抜いた経験は、彼女に「ひとりの舞台女優」としての確固たる自信を与えた。
そして日本中に空前の旋風を巻き起こしたディズニー映画『アナと雪の女王』での王女アナ役の吹き替えである。透き通るような歌声と抜群の表現力は、日本中の観客を魅了した。もはや誰も彼女を「聖子の娘」とは呼ばなかった。自らの声と努力だけで手に入れた絶賛。この大ヒットにより、彼女は名実ともにスターとしての地位を確立し、母という存在を超えた独自の表現世界を打ち立てたのだった。