過熱する厨房環境において、マスク着用がもたらす最大の課題が従業員の健康被害である。特に火を使用する厨房内は室温や湿度が上昇しやすく、夏場には悲鳴に近い声が上がる。
ここで重要になるのが労働安全衛生の観点だ。事業者は食品の安全を守る義務があると同時に、従業員の生命と健康を守る安全配慮義務を負っている。過酷な環境下で高機能マスクを着用し続けることは、呼吸抵抗を増やし、体温調節を阻害するため、熱中症を引き起こす直接的な原因となる。
近年では、HACCP計画の策定においても、作業環境の温湿度管理と従業員の体調変化をモニタリングするリスク管理が重要視されるようになった。安全な食事を提供するためのマスクが原因で調理人が倒れてしまっては、本末転倒である。