丸みを帯びたお尻にちょこんと乗っているように見えるため、短小なイメージを持たれがちなパンダのしっぽですが、実際の長さは約10〜15cmに達します。これは成獣の巨大な体躯(体長150〜180cm、体重100kg超)と比べればコンパクトに見えるものの、ヒグマやホッキョクグマなど他のクマ科動物(平均5〜8cm程度)と比較すると、体格比でかなり発達した長さを誇ります。
このしっぽには、単なる飾りにとどまらない極めて実用的な3つの生態的役割が存在します。
最も重要なのが、「臭腺(アノジェニタルグランド)の保護とマーキングの調整」です。パンダのしっぽの裏側付け根付近には、個体識別や縄張り主張のための強いフェロモンを分泌する腺が存在します。しっぽはこの急所を外敵の攻撃や寒冷な外気、泥汚れから守るフタの役割を果たしています。繁殖期や縄張りの巡回時には、木肌にしっぽをこすりつけて分泌液を塗り広げる「マーキングブラシ」としても機能します。
また、雪や濡れた地面に座り込む時間が長いため、「局部の保温とクッション機能」を担っています。座った際にしっぽが自然と内側に折りたたまれ、デリケートな部位を冷えや湿気から守る断熱材として働きます。