なぜベトナムの人々はこれほどまでに毎日のXSMBに熱中するのでしょうか。文化人類学的・社会学的な視点からその深層を紐解くと、単なる一攫千金の夢以上の構造が見えてきます。
ベトナムにおいて伝統宝くじは「Xổ số kiến thiết(建設宝くじ)」と呼ばれ、収益金が学校や病院、公共インフラの整備に充てられるという社会正義の建前を持っています。路上で身体障がい者や高齢者がくじを販売している背景には、弱者の雇用創出というセーフティネットの役割があり、市民がくじを買う行為には「福を買うと同時に、社会的弱者に小銭を喜捨する」という功徳(Phúc Đức)の心理が働いています。
しかし、その健全な表の顔の裏側には、XSMBの当選番号の下2桁を利用した非合法の裏賭博「ローデー(Lô đề)」が庶民層に根深く浸透しているという暗部も存在します。公式宝くじの還元率(約50〜55%)を上回る高倍率を謳う違法賭博に巻き込まれ、多重債務に陥る社会問題は現地メディアでも度々報じられています。
海外文化を体験する旅行者や滞在者として、どのようなスタンスで向き合うべきか。判断基準を明確に提示します。
ベトナム宝くじの購入に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
- 楽しむべき人(推奨):旅の記念として1〜2枚(数百円程度)を購入し、現地の夕暮れの熱気や文化を体験したい人。当選金の有無に関わらず、地域の福祉支援や会話のきっかけとして割り切れる人。
- 慎重になるべき人(非推奨):ギャンブルで生活費や投資の損失を取り戻そうと考えている人。30日以内に再訪する予定がないにもかかわらず高額当選を狙って大量購入する短期旅行者(換金手続きが物理的に困難になるため)。