かつてネットカフェの個室といえば、上部が空いた木板のパーティションで仕切られ、隣のいびきやキーボードの打鍵音が筒抜けになる「ブース席」が主流でした。その光景を根本から覆したのが、業界最大手である快活CLUBが牽引した「鍵付き完全個室」の全国展開です。現在では主要都市の旗艦店舗において、全座席の7割以上がこの完全個室タイプへとリプレイスされています。
ドアにはICカードや暗証番号によるオートロック機構が組み込まれ、天井まで隙間なく壁で密閉された空間は、外からの視線を100%遮断します。室内の空調は個別管理または高性能換気ダクトが直結しており、従来のブースで問題視されていたタバコ臭や空気の滞留は徹底して排除されています。備え付けのマットも、厚さ10cm以上の高反発ウレタンや有名寝具メーカーと共同開発したフラットシートが採用され、成人男性が足を伸ばして熟睡できる床面積(約2.2〜2.8平米)が確保されています。
ただし、ここで留意すべきは行政指導および関係法令(風適法・消防法・食品衛生法)による規制です。警察庁および各都道府県の生活安全部による指導基準により、鍵付き完全個室は「個室席」として厳格に区分されています。そのため、店内のフリードリンクコーナーで注いだ飲料や厨房で調理されたフードメニューを、鍵付き完全個室内に持ち込むことを禁止している店舗が依然として存在します。利用者は共有のイートインスペースで飲食を済ませるか、店外から持ち込んだ市販品のみ個室内で飲食可能とする運用が取られており、ホテルと完全に同一のルームサービス感覚で過ごそうとするとギャップに直面します。