キャンパスを歩いていると、嫌でも目を奪われるのが重厚な赤レンガ造りの校舎だ。長い年月を経て深みを増したその外壁は、単なる建築美を超えた強いメッセージを放っている。この校舎の根底にあるのは、甲南の創立者である平生釟三郎が掲げた「人格の修養」と「健康の増進」という揺るぎない人物教育の精神だ。
平生が目指したのは、知識の詰め込みではなく、社会で自立し他者を尊重できる人間力の育成であった。赤レンガの壁面に刻まれた歴史の重みは、時代が変わっても揺らぐことのない教育の「軸」を今に伝えている。講義室の窓越しに見えるクラシックな中庭の景色は、現代の学生たちに深い思考の時間をもたらす貴重なロケーションだ。