代表作『すーちゃん』の誕生から長い年月が流れた。しかし、作中で描かれた葛藤は、今も色あせるどころか、よりリアルな手触りをもって私たちに迫ってくる。カフェで働くすーちゃんがふと吐露する「このままでいいのかな」という漠然とした不安。それは30代から40代、そして50代へと年を重ねても、消えてなくなるわけではない。
結婚するのかしないのか、子どもを持つのか持たないのか、この仕事を走り続けるべきか。選択の自由が広がった分、「選ばなかった人生」への迷いはむしろ深まっているのかもしれない。益田ミリは、そんな心の揺れを安易な励ましで誤魔化さない。悩む姿をただそのまま画面に置いてくれる。その圧倒的な肯定感こそが、多くの読者が抱える孤立感をそっと包み込んできた理由だ。