市川猿之助(四代目)が残した圧倒的な芸術的業績は、事件後も複雑な影を落としている。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での凄み溢れる怪演や、自ら演出し主演を務めた『スーパー歌舞伎II ワンピース』をはじめとする革新的な舞台作品は、エンターテインメントの歴史に刻まれた金字塔であった。
しかし事件の影響により、地上波再放送や配信プラットフォームでの取り扱いは激変した。NHKオンデマンドでの過去作配信の制限や再編集、U-NEXTなどの動画配信サービスにおける作品タイトルの取り扱いを巡っては、作品の価値と出演者の倫理問題との間で激しい議論が巻き起こった。名作として評価されながらも、視聴者の目に触れにくい状況が続いており、作品に罪はあるのかという不可解な問いを私たちに突きつけている。