記念すべきシリーズ第1作目『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』。本作で異質な存在感を放つ敵役・ハイグレ魔王の正体は、はるか遠くの「ハイグレ星」から地球へ飛来した宇宙の侵略者だ。
全身をハイレグ水着で包み、ハイヒールを鳴らして高笑いするそのキャラクター像は、強烈なインパクトとともに当時の観客に刻み込まれた。しかし、単なる悪党ではない。彼が求めたのは世界征服そのものというより、全人類を「ハイグレ姿」に変えて自身の美学で染め上げるという、狂気的かつ偏執的な美意識の貫徹だった。
作中に盛り込まれた裏設定も興味深い。物語の鍵を握る「チョコビのNo.99カード」は、日常の埼玉県春日部市と、特撮ヒーローが実在するパラレルワールドをつなぐ次元移動のゲートとして機能していた。特撮の「劇中劇」だと思っていたアクション仮面が実は別次元の本物のヒーローだったという構造は、現実と虚構の境界を曖昧にする先進的なSF仕掛けだったと言える。