女性用小便器の歴史を紐解くと、その原点は1930年代から1950年代のアメリカにまで遡る。米国の衛生陶器メーカー「アメリカン・スタンダード社」が開発した器具に着目したのが、当時の東洋陶器(現・TOTO)だった。戦後日本の急速な都市化に伴い、公共施設における女子トイレの行列解消は極めて切実な課題として浮上していた。
そこで1964年、満を持して国内発売されたのが女性用小便器「サニスタンド(Sanistand)」だ。折しもアジア初開催となる1964年東京オリンピックの開幕直前。世界中から観客が押し寄せる国立霞ヶ丘陸上競技場(旧国立競技場)のスタンド下女子トイレに、約50台のサニスタンドが一挙に配備された。限られた空間で多くの利用者を素早くさばく「最新の合理化設備」として、大きな期待を背負ってのデビューだった。