舞台『十二夜』の最大の醍醐味は、緻密に計算されたアイデンティティの誤認と片思いの連鎖です。物語の展開をわかりやすく整理します。
船の難破によって双子の兄セバスチャンと生き別れたヴァイオラは、見知らぬイリリアの海岸へ漂着。身を守るため「シザーリオ」と名乗って男装し、領主オーシーノ公爵に小姓として仕え始めます。ヴァイオラは次第に公爵に心惹かれていきますが、公爵が愛を捧げていたのは喪中の伯爵令嬢オリヴィアでした。
公爵の恋の使者としてオリヴィアのもとへ通うことになったシザーリオ(ヴァイオラ)。しかし皮肉なことに、オリヴィアは使者であるシザーリオに一目惚れしてしまいます。「公爵 → オリヴィア → シザーリオ(ヴァイオラ) → 公爵」という奇妙な三角関係が成立する中、死んだと思われていた双子の兄セバスチャンが街に現れたことで、誤解と混乱は極限に達します。
ステージナタリーの開幕取材において、正門良規は「何も考えずフラッと笑いに来てほしい」とコメント。古典劇特有の難解さを一切感じさせないスピーディーなテンポと、執事マルヴォーリオを騙す痛快な悪戯劇のサブプロットが同時進行し、観客を飽きさせません。上演時間は休憩を含め約2時間45分前後となり、心地よい余韻とともに幕を閉じます。