ネット上の質問掲示板や旅行予約サイトで頻繁に見かける「名古屋飛行場と県営名古屋空港は別の施設なのか」という疑問。結論を述べると、これらはすべて愛知県西春日井郡豊山町・小牧市・春日井市・名古屋市北区にまたがる同一の空港施設を指しています。別々の空港が存在するわけではありません。
名称が複数乱立している背景には、行政上の位置づけと歴史的な経緯が深く関わっています。航空法上の正式名称は「名古屋飛行場」です。しかし、愛知県が設置・管理する特定地方管理空港として再出発した経緯から、県やターミナルビル会社は広報・愛称として「県営名古屋空港」の呼称を用いています。さらに地元住民や長年の航空ファンからは、かつての空港所在地イメージから親しみを込めて「小牧空港」と呼ばれ続けています。
この空港が歩んだ軌跡はドラマチックです。昭和から平成初期にかけて、同空港は中京圏唯一の国際空港として君臨し、ボーイング747をはじめとする巨大ジェット機が日常的に離着陸していました。しかし、住宅地に囲まれた立地ゆえの騒音問題や24時間運航の限界から、伊勢湾沖に完全24時間運用が可能な人工島空港「中部国際空港(セントレア)」が建設されることになります。
2005年2月17日の中部国際空港開港に伴い、すべての国際線定期便と大手航空会社の主要国内線はセントレアへと完全移転しました。一時は旅客機能がゼロになる危機さえ囁かれましたが、愛知県が国から滑走路等の管理を引き継ぎ、2005年2月に「県営名古屋空港」としてコンパクトに再始動。その後、地方間を結ぶリージョナル航空会社であるフジドリームエアラインズ(FDA)が拠点化したことで、驚異的な復活を遂げました。