なぜ建築家という存在がこれほどまでにリスペクトされ、独自の立ち位置を確立しているのでしょうか。その背景には、近代建築史における思想・空間概念の革新があります。
近代建築の三大巨匠のひとりであるル・コルビュジエ(代表作:『サヴォア邸』『ロンシャンの礼拝堂』)は、鉄筋コンクリート造による「近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由なファサード)」を提唱し、20世紀の都市と住環境のあり方を根底から塗り替えました。
日本国内においても、コンクリート打ち放しと幾何学的な光の操作で世界的な評価を受けた安藤忠雄(代表作:『光の教会』『住吉の長屋』)や、伝統的な木材活用と現代建築を融合させた隈研吾(代表作:『国立競技場』『根津美術館』)、ガラスを多用した軽やかな空間を生み出すSANAA(妹島和世+西沢立衛)(代表作:『金沢21世紀美術館』)など、プリツカー賞(建築界のノーベル賞)を受賞した建築家たちが数多く活躍しています。
彼らが単なる「設計技術者」ではなく「建築家」と称される理由は、単に法律や構造を満たすだけでなく、その時代の社会課題に対する批評性や、人々の生き方を変える空間コンセプトを提示している点にあります。