日本における植物学の父として知られる牧野富太郎博士も、著書や採集記録の中で野外の植物を軽率に口にすることの危うさを繰り返し示唆していた。日本各地の山野を歩き回り、無数の草木を観察した牧野博士の視点は、現代の野草ブームや自然体験においても重要な教訓を含んでいる。
学術団体である日本植物学会の関係者も、野生植物や街路樹の取り扱いについて強く警鐘を鳴らす。学術的な知見からも、ツツジ科植物が持つ神経毒は古くから知られており、古代ギリシャの歴史家クセノポンの記述にも、ツツジ属の蜜を食べた兵士たちが集団中毒を起こした記録が残っているほどだ。
人間が人工的に植えた公園や道路脇のツツジであっても、自然界の防衛本能として毒素を生成している事実に変わりはない。綺麗に咲く花びらは、虫を引き寄せる魅力であると同時に、自らを害敵から守るための化学兵器でもあるのだ。