被害を受けたサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の現場では、直ちに被害状況の詳細な調査が開始された。管轄するサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂財団は、事件発覚と同時に緊急修復会議を招集。被害部分の保全作業に着手している。
とりわけ15世紀の巨匠フィリッポ・ブルネレスキが手がけた伝説的な大クーポラ(ドーム)を擁する建造物だけに、修復作業には極めて高度な技術が求められる。単に溶剤で拭き取るだけでは、繊細な古色(パティナ)や大理石自体の質感を永久に損ねる危険があるからだ。
現場では「フィレンツェ歴史地区修復保護プロジェクト」のトップ専門家たちが集結。レーザー照射機器や特殊な微粒子ブラスト技術を駆使し、石材の深部まで浸透した塗料を分子レベルで除去する緻密な作業が続けられている。最先端の文化財保護・歴史的建造物修復産業の英知を結集した、時間との戦いである。