日本における料理漫画の歴史は長いが、『食戟のソーマ』が果たした役割は特異だ。かつてのグルメ漫画は専門知識の解説か、人情ドラマの引き立て役に留まることが多かった。しかし本作は、少年漫画特有の「バトル要素」と「官能的なリアクション」、そして「ガチで再現可能なレシピ」をハイブリッドに融合させて見せた。
この成功は出版業界にも大きなインパクトを与えた。漫画の関連書籍といえばファン向けのイラスト集や設定資料集が主流だった時代から、一気に「実用的な料理書」として書店の実用書コーナーに並ぶ流れを作ったのだ。集英社と週刊少年ジャンプが生み出したこのフォーマットは、その後のコンテンツビジネスにおけるクロスメディア展開の金字塔として今なお高く評価されている。