『鬼滅の刃 那田蜘蛛山編』において、累が見せた恐怖政治は異質だった。彼は他の鬼たちに自らの血を分け与え、顔や能力を変化させ、「父」「母」「兄」「姉」という役割を強制。理想の家族を演じさせていた。恐怖と暴力で繋ぎ止めた関係は、少しでも意に沿わなければ容赦なく粛清される。
主人公・竈門炭治郎と妹・禰豆子が示す「命を賭して守り合う本物の絆」を目にした時、累の心に激しい執着と嫉妬が芽生えた。自身の手で作り上げた偽りの家族には決定的に欠けていたもの。それこそが、互いを想い合う無償の愛だったのだ。この対比が物語に圧倒的な緊迫感と悲壮感をもたらした。