人気編み物作家の三國万里子氏は、手編みならではの不揃いさや糸と手の対話から生まれる美しさを説き続けてきた。指編みによるシュシュ作りにも、まったく同じ精神が宿る。機械編みのように均一ではないループの揺らぎが、光を乱反射して柔らかな陰影を作り出す。
指の太さや力の抜け具合によって、世界にふたつとないフォルムが生まれる。この「完璧を目指さない豊かさ」こそがハンドメイドの醍醐味だ。編み間違えたと感じても、指編みなら指先ひとつでスルスルと解いてやり直せる。失敗への恐れから解放されたとき、ものづくりは真のエンターテインメントへと昇華する。