インターネット上の掲示板やSNS、知恵袋などでは、かつて「女流落語は色物枠」「テレビ受けを狙った一時的なブームに過ぎない」といった冷ややかな声が散見されました。しかし、現在の定席寄席(新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、鈴本演芸場、天満天神繁昌亭など)に足を運ぶと、ネット上の噂とは正反対の光景が広がっています。
現場の最前線を取材すると、劇場の客席構成は過去数年で明確に変容しました。平日昼席であっても客席の4割近くを女性客や20代〜30代の若年層が占め、高座を見つめる視線は真剣そのものです。終演後のロビーでは、往年の古参ファンと見られる高齢男性が「つる子の『芝浜』には参ったな。あんな泣かされ方をするとは思わなかった」「二葉のあの勢いは男の落語家じゃ出せない味だ」と唸る場面に度々遭遇します。
「男の言葉を不自然に真似している」という違和感は、彼女たちの徹底的な修練によって完全に解消されました。むしろ、男性噺家が無意識に踏襲していた「粗野な江戸弁」「ステレオタイプな女性像」に対し、現代的な息吹とリアルな感情移入をもたらしたことで、観客は落語という芸能が持つ本来の懐の深さに改めて気づかされているのです。