中尾彬さんの代名詞といえば、ストールやマフラーを首元で独特の形状に巻く「ねじねじ」スタイルです。しかし、このスタイルは若い頃から行っていたわけではなく、いつから始まったのかという疑問を持つ読者も少なくありません。
関係者の回想や本人の生前のインタビューによると、ねじねじが定着したのは1990年代初頭のバラエティ番組出演が本格化した時期でした。当初は「ネクタイを締めると堅苦しくなり、外すとだらしなく見える」「年齢とともに気になる首元のシワをおしゃれに隠したい」という極めて実用的な理由から、私物のストールを無造作にねじって巻いたことが始まりでした。
これがテレビ関係者や視聴者の間で大きな話題となり、スタイリストと試行錯誤を重ねる中で「中尾彬の象徴」として確立されていきました。絵画を学び、色彩やフォルムに並々ならぬこだわりを持っていた中尾さんだからこそ、単なる思いつきを超えて「洗練された自己プロデュースの武器」へと昇華させることができたのです。