デジタル空間におけるトレンドの変遷を辿ると、オホ声の元ネタや由来は2000年代後半から2010年代にかけての成人向け漫画・同人カルチャーにおけるオノマトペ(擬音・擬態語)に端を発していることが分かります。強烈な快楽や予期せぬ刺激に圧倒され、理性を保てなくなったキャラクターが思わず漏らす「オホッ」「オホォ…」という感嘆交じりの喘ぎが記号化された表現でした。
この表現が動画プラットフォームへと越境する契機となったのが、ニコニコ動画での人気コンテンツやMAD動画です。ゲーム実況者が激痛やハプニングに見舞われた際の悲鳴、あるいはアニメキャラクターの声を切り貼りした音MAD素材として再解釈され、「滑稽でありながら中毒性がある音素材」としての地位を確立しました。
さらに決定打となったのが、バーチャルYouTuber(VTuber)の台頭です。激辛企画やホラーゲーム実況、罰ゲーム配信などでライバーが発した無防備な叫び声がリスナーによってピックアップされ、VTuberのネットの反応とともにオホ声の切り抜き動画まとめとしてXやShorts上に大量投稿されたことで、10代から30代を中心とする幅広い層に認知が拡大しました。