文系・理系の一般的な大学比較において、藝大卒業生の就職率は「極端に低い」と話題に上ることがあります。かつてベストセラーとなったノンフィクション書籍の影響もあり、「卒業生の半分は行方不明になる」というフレーズが一人歩きしていますが、この情報の真偽はどうなのでしょうか。
文部科学省の学校基本調査における「就職率」は、一般企業や公的機関に正規雇用などで就いた者の割合を基準に算出されます。しかし、藝大の卒業生は卒業直後から独立したアーティスト、画家、彫刻家、演奏家、作編曲家、個人アトリエの運営者として活動するケースが圧倒的多数を占めます。公的な書類上ではこれらが「無職・その他(進路未定)」として一括処理されるため、見かけ上の就職率が極端に低く算出されてしまうのが真相です。
実際には、大学院への進学、海外の国立音楽院や美術大学への留学、研究生としての残留、さらには劇団やスタジオとの業務委託契約など、多彩な形で専門性を磨き続けています。決して社会から孤立しているわけではなく、伝統的な企業就職という枠組みにとらわれない柔軟なキャリア形成を選んでいるに過ぎません。