ネット上のQ&Aサイトでは「リセットすればすべての入力履歴が工場出荷状態に戻る」と解説されるケースが散見されますが、これは半分正しく、半分は誤解です。ここにiPhone予測変換リセット消えない理由の核心があります。
iPhoneの文字入力候補は、単一のデータベースから呼び出されているわけではありません。主に以下の4つの独立したデータソースが統合されて画面に提示されています。
第1に「文字入力の学習ログ」です。これはユーザーが文字を入力し、どの漢字に変換したかの頻度を蓄積する一時的なログであり、キーボード初期化によって即座に消去されます。しかし、問題は残りの3つです。
第2の要因がiPhoneユーザ辞書と予測変換の違いにあります。ユーザ辞書はユーザーが明示的に保存した永続データであるため、キーボードの学習リセットを行っても1文字たりとも消えません。過去に自分や他人が意図して登録した単語、あるいは他端末のMacやiPadからiCloud経由で同期された辞書データが、リセット後も平然と候補に浮上してくるのです。
第3に「連絡先アプリのデータ」です。iPhoneは入力支援のために連絡先に登録されている氏名やニックネーム、企業名を自動的に変換候補へ引き込みます。アドレス帳に該当の人物や名称が残っている限り、キーボード学習を何十回リセットしようとも候補から消えることはありません。
第4が「Siriの学習とSafariの検索キャッシュ」です。オンデバイスAIがブラウザの閲覧履歴やメッセージの送受信テキストを解析し、「文脈上関連性が高い」と判断した語句を予測候補に差し込んでくる仕組みが存在します。リセットしても消えない単語の多くは、学習履歴ではなく、連絡先やブラウザ履歴、ユーザ辞書という“別の保管場所”から供給されているのが実態です。