「拝見(はいけん)」とは、「見る」という行為をへりくだって表現する謙譲語です。「拝」という漢字には「頭を下げて礼をする、敬う」という意味があり、「見る」と組み合わせることで「慎んで見せていただく」という深い敬意を表します。
文化庁文化審議会が答申した『敬語の指針』における5分類に当てはめると、「拝見」は「謙譲語Ⅰ」に位置づけられます。謙譲語Ⅰとは、自分側の行為によって相手を高める敬語です。したがって、行為の主体は必ず「自分自身」または「自社の人間」でなければなりません。
日常のオフィスで頻発する最も危険なミスが、相手の動作に対して「拝見」を使ってしまうケースです。「〇〇部長、先日の資料はもう拝見されましたか?」といった発言は、相手をへりくだらせてしまうため敬語として完全に破綻しています。相手が見る場合は尊敬語である「ご覧になる」を使い、「〇〇部長、先日の資料はもうご覧になりましたか?」と表現するのが正しい作法です。