矢崎滋の残した功績は、実写の映像作品やCMだけにとどまりません。スタジオジブリの名作アニメーション映画『おもひでぽろぽろ』(高畑勲監督)における父親役の声優としても、映画ファンの記憶に深く刻まれています。
昭和の頑固でありながら不器用な父親像を、抑制の効いた見事な声のトーンで表現し、物語に重厚なリアリティをもたらしました。大げさな芝居を排し、人間の機微をリアルに描き出す技術は、文学座仕込みの確かな実力があってこそのものでした。
現在も金曜ロードショーなどで同作が放送されるたびに、SNS上では「お父さんの声、やっぱり矢崎滋さんだったんだ」「この自然な演技ができる俳優は貴重」と、その卓越した演技力を称賛する声が上がります。