日本で「世界三大美女」と問われれば、大半の人がクレオパトラ、楊貴妃、小野小町の3名を即答します。ところが、欧米諸国の百科事典や歴史教養書に「Three Great Beauties of the World」として小野小町が記載されるケースはまずありません。
欧米圏における代表的な美女の選定では、クレオパトラ、楊貴妃に加え、ホメロスの叙事詩『イリアス』に登場する「スパルタの王妃ヘレネ」が選ばれるのがスタンダードです。ヘレネは絶世の美貌ゆえにトロイアの王子パリスに奪われ、古代世界最大級の戦乱「トロイア戦争」の引き金となった人物として西洋文化圏に深く根付いています。
文化圏によって「誰を美の象徴とみなすか」の文脈は大きく分かれています。日本人が信じて疑わなかった三大美女の枠組みは、グローバルな共通認識ではなく、明確な意図をもって日本国内でローカライズされた文化遺産といえます。